建設業許可は500万円未満なら不要? ― 軽微な建設工事の範囲を一次資料で確認する
公開日:2026年8月17日一次資料の最終確認日:2026年8月17日
結論(先に要点だけ)
- 建築一式工事以外は、1件の請負代金が500万円に満たない工事であれば許可なしで請け負えます(軽微な建設工事)。
- 建築一式工事は基準が別で、1,500万円に満たない工事、または延べ面積150㎡に満たない木造住宅の工事です。
- 金額は消費税・地方消費税を含んだ税込で判断します。
- 注文者(施主)が材料を用意した場合は、その材料の市場価格(+運送賃)を請負代金に足して判断します。
- 同じ工事を2つ以上の契約に分けても、正当な理由がなければ合計額で判断します。
どこに書いてあるか(根拠の所在)
建設業を営もうとする者は建設業の許可を受けなければならない、というのが建設業法第3条第1項の原則です。同項のただし書で、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」はこの限りでないとされており、その「軽微な建設工事」の中身を定めているのが建設業法施行令第1条の2です。
つまり、金額の数字そのものは法律ではなく政令(施行令)にあります。改正があるとすれば施行令のほうなので、金額を確認するときは施行令と、その内容を解説している国土交通省・許可行政庁のページを見るのが確実です。
軽微な建設工事の金額基準
国土交通省「建設業の許可とは」のページでは、許可を受けなくてもよい軽微な建設工事が次のように示されています。
| 工事の種類 | 許可が不要になる範囲 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事 または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事 |
| 建築一式工事以外 (大工・電気・管・内装仕上など) |
工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事 |
※ 上記金額には、取引に係る消費税および地方消費税の額を含みます(国土交通省・同ページ)。記載内容の確認日は記事冒頭に記載しています。
注意したいのは、条文が「500万円未満」「1,500万円未満」(=満たない)と書かれている点です。500万円ちょうどの工事は軽微な建設工事にあたりません。境界の金額になりそうな案件は、契約前に提出先の行政庁へ確認しておくのが安全です。
建築一式工事だけ基準が違う理由と「木造住宅」の意味
建築一式工事は、建物の新築や大規模な増改築のように、複数の専門工事を組み合わせて全体をまとめる工事です。1件あたりの規模が大きくなりやすいため、他の29業種とは別枠の基準が置かれています。
もうひとつの「延べ面積150㎡未満」という基準は、どんな建物にも使えるわけではなく、木造住宅の工事に限られます。国土交通省の同ページでは、ここでいう木造住宅を次の2つを満たすものとしています。
- 木造であること … 建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
- 住宅であること … 住宅、共同住宅、および店舗等との併用住宅で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの
店舗併用住宅の場合、居住部分が延べ面積の半分に満たなければ、この150㎡の基準は使えません。鉄骨造・鉄筋コンクリート造の住宅も対象外です。面積だけを見て判断しないようにしてください。
金額の数え方で間違えやすい3点
1. 税抜で数えてしまう
金額は税込で判断します。千葉県の建設業許可のページでも、1,500万円・500万円のいずれについても「(税込み)」と明記されています。税抜499万円の工事は、消費税を加えると500万円を超えることがあります。見積書の税抜額だけを見て「軽微だから大丈夫」と判断しないでください。
2. 施主支給の材料費を足し忘れる
注文者が材料を提供し、その価格が請負代金に含まれていない場合でも、金額基準の判断では材料の価格を足します。これは建設業法施行令第1条の2第3項に定めがあり、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格または市場価格および運送賃を請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする、とされています。全国共通の政令の定めであり、都道府県ごとの運用ではありません。同じ内容を平易に説明している例として、奈良県・大分県のページがあります。
工賃だけを見ると基準内でも、支給材料を加えると超えることがあります。施主支給がある案件では、材料の市場価格を確認したうえで判断してください。
3. 契約を分けて基準内に見せる
こちらも建設業法施行令第1条の2第2項に定めがあります。同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする、ただし正当な理由に基づいて契約を分割したときはこの限りでない、とされています。これも全国共通の政令の定めです。奈良県のページが同じ内容を平易に説明しています。
工期や工区を分ける合理的な事情がある場合まで一律に否定されるわけではありませんが、金額基準を下回らせることを目的とした分割は「正当な理由」にあたりません。元請から契約の分割を持ちかけられた場合も、判断の責任は請け負う側に残ります。
自分のケースを確かめる手順
- その工事が建築一式工事か、それ以外の専門工事かを確認する。ここを取り違えると基準そのものが変わります。
- 請負代金を税込で計算する。
- 注文者からの支給材料があれば、その市場価格(+運送賃)を加える。
- 同じ工事について他の契約に分かれていないかを確認し、分かれていれば合計する。
- 建築一式工事で150㎡の基準を使いたい場合は、木造かどうか・居住部分が延べ面積の2分の1以上かどうかを確認する。
- 境界に近い場合、または迷う場合は、許可行政庁(知事許可なら都道府県の建設業担当課)に事前照会する。
注意点(許可が不要でも守るべきこと)
軽微な建設工事だけを請け負う場合でも、建設業法の他の規定(契約書面の交付、不当に低い請負代金の禁止など)や、労働安全衛生法、建設リサイクル法などの適用がなくなるわけではありません。「許可が要るか」と「法令の適用があるか」は別の話です。
また、許可の有無にかかわらず、元請や発注者が独自に「許可業者であること」を取引条件にしていることがあります。制度上不要でも、取引上は必要になる場合があります。
なお、金額基準に該当するかどうかの最終的な判断は、許可行政庁が個別の契約内容にもとづいて行います。このページは根拠となる公的資料の所在をご案内するもので、個別の案件について許可の要否を断定するものではありません。判断に迷う場合は、契約を結ぶ前に許可行政庁または行政書士等の専門職にご確認ください。
よくある質問
Q. 500万円ちょうどの工事は許可が必要ですか?
軽微な建設工事は「500万円に満たない工事」と定められているため、500万円ちょうどは軽微な建設工事にあたりません。境界の金額は判断が分かれやすいため、提出先の行政庁にご確認ください。
Q. 金額は税込・税抜のどちらで判断しますか?
消費税および地方消費税を含んだ税込金額で判断します。国土交通省の建設業許可の説明ページでも、金額には取引に係る消費税および地方消費税の額を含むとされています。
Q. 材料を注文者(施主)が用意した場合はどう数えますか?
注文者が材料を提供する場合は、その市場価格、または市場価格および運送賃を請負代金の額に加えた額で判断します。工賃だけで金額基準を判断すると誤ることがあります。
Q. 契約を分ければ基準内に収まりますか?
同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、正当な理由に基づいて分割した場合を除き、各契約の請負代金の額を合計して判断します。
Q. 建築一式工事の150㎡の基準はどんな建物に使えますか?
木造住宅の工事に限られます。国土交通省の説明では、建築基準法第2条第5号の主要構造部が木造であり、住宅・共同住宅・店舗等との併用住宅で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものとされています。
ここまでが全国共通の基準です。実際の判断では、提出先の都道府県が公開している要綱・様式・運用の記載も確認することになります。建設AI司書 by PUBREF は、こうした「根拠が法律・政令・行政庁のページに分かれている」疑問に対して、確認すべき公的資料の該当箇所を出典つきでご案内します。
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参照した公的資料
- 建設業の許可とは/国土交通省(軽微な建設工事の範囲・消費税の取扱い・木造住宅の定義)
- 建設業法(昭和24年法律第100号)/e-Gov法令検索(第3条=許可の原則とただし書)
- 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)/e-Gov法令検索(第1条の2第1項=軽微な建設工事の内容/第2項=分割契約の合計/第3項=施主支給材料の加算)
- 許可の概要/奈良県(施主支給材料の加算・分割契約の合計)
- 建設業の許可/大分県(税込判断・施主支給材料の加算)
- 建設業許可について/千葉県(金額基準の税込表記)
※ 施主支給材料の加算と分割契約の合計は、いずれも建設業法施行令第1条の2に定められた全国共通の内容です。国土交通省の概要ページでは触れられていないため、同じ内容を平易に説明している県のページを併記しています。なお申請様式・受付窓口・独自の運用は提出先の行政庁ごとに異なるため、実際の手続きでは提出先の公式ページを確認してください。
本ページは国・地方公共団体が公開している公的資料の所在をご案内する情報提供です。法的助言ではありません。制度は改正されることがあり、個別の案件について許可の要否を最終的に判断するのは許可行政庁です。契約前の確認は、提出先の行政庁または行政書士等の専門職へお願いします。